フィルムカメラがまた見直されていると聞きます。今後、フィルムを使ってみようとされる方々のご参考になればと思い、フィルムカメラによる撮影からこのサイト掲載までの手順を簡単にまとめました。フィルム写真とは言っても、引き伸ばし器で直接プリントしている訳ではなく、フィルムをスキャナによりデジタル化します。デジタル化後の扱いはデジタルカメラの場合とほとんど変わりません(フィルムの場合にはゴミ除去対応が入ってくる、くらいの差です)。現在のプリンタが高品位になり、用紙を的確に選択すればかなり満足のできるプリントを手軽に作ることができます。また、ここのサイトのようにネットでの発信にはデジタル化が不可欠です。今では、フィルムカメラを使いこなすためにはデジタル技術が不可欠なものとなっています。


フィルムによる撮影

 フィルムカメラとフィルムにより撮影します。

フィルムのサイズと種類

 フィルムについては、フィルム全盛時代では、メーカーの数、またフィルム自体のバリエーションの多さなど相当なものでしたが、今では選択肢は限られています。ここではフィルムのサイズと種類について簡単にご紹介します。

 まずサイズです。これまでもまた現在でも、よく使われているものは35mm判と中判(ブローニー判とも言います)の二つです。この内35mm判が圧倒的に多数です。これについては、ここと同じ左メニューの「カメラとレンズ」のコーナーでもご紹介しています。35mm判は36枚撮りが中心、中判は12枚撮りです。

 次に種類です。大きく分類してネガとリバーサル。ネガの中にカラーとモノクロ、リバーサルはスライドフィルムのことでフィルム上に直接鑑賞できる映像が焼き付けられます。

左が35mm判フィルム、右が中判フィルム
フィルムカメラ

 フィルムカメラについては、今購入できるものはほとんどが中古カメラになります。中古カメラの場合、修理できることが前提です。比較的新しい電子制御カメラよりも機械式カメラの方が修理しやすく長い使用に耐えるようです。私の場合、ニコンについては東京西大井にあるキィートスさんに修理をお願いしてきました。

 私の使用している主なカメラについては、ここと同じ左メニューの「カメラとレンズ」のコーナーでご紹介しています。


フィルム現像

 現在はフィルムの現像は外注しています。学生時代にはモノクロフィルムを自分で現像していた時期もありました。しかしながら、社会人になってからは本業の環境コンサルタント業務が多忙を極め、フィルム現像対応の時間が惜しくて(暇があれば撮影に出かけるというパターン)、現在では大手カメラ販売店のDPEにお願いしています。また、あえて自家現像を行おうとする場合、廃液処理に多大な労力を要しますのでこの傾向に拍車がかかっています。


フィルムの保管

 フィルムの保管については、この旅を始めたころにはそれほど関心を持っていませんでした。ところが時間経過とともにこのことの重要性を認識するようになりました。フィルムの長所「保管性のよさ」です。

 デジタルカメラの場合、RAWデータや印刷直前のJPEGデータの20~30年間程度の保管にはかなりの労力が必要と思います。保管する媒体とそのドライブが将来的にどのようになっているかについて予見できない部分があるからです。

 これに対してフィルムは明快です。カビ対策と日差しによる紫外線対策をしっかりしておけば50年くらいは行けるのではないかと思います。現に私は45年程前の学生時代のネガフィルムをいくつか所有しています。一部にはカビ発生によりダメになったもの(これは無対策だったため致し方ない)もありますが、そうでないものは最近撮影したものと同じように今でもデジタル化が可能です。

 この旅を開始してからのフィルムは、封筒に入れ撮影日時等を記入して大きめのドライボックスに保管するようにしています。今では本数をカウントできないくらいの量になってきていますが、容易に過去のフィルムを取り出すことができます。

現像済みフィルムは封筒に入れ日付と地点名をメモ

スキャナによるデータ化

 フィルムスキャナによりデータ化します。ここで一旦デジタルデータにしますと、この後はデジタルカメラの場合とほとんど同じです。読み取り解像度に関しては、展示物用のA3サイズのプリントアウトを想定して2,400dpiで行っています。

フラットベッドタイプのスキャナ

 デジタル化にはフラットベッド型のスキャナを使用しています。フィルム全盛時代にはフィルム専用のスキャナが豊富にあり、かなり高性能なものが手の届く価格帯で販売されていました。しかし、今では選択肢は限られています。私はエプソンのGT-X970を使用しています。市場価格5万円程度で比較的入手しやすいのですが、一部にピント精度に課題があるとの指摘があります(以下に詳述)。一方で、もう一つの重要な要素ダイナミックレンジ(メーカ公表値なし)は結構広いのではないかと思います。業務機によるスキャニングサービスを提供するサイトへお願いした時の画像と、GT-X970で自家スキャニングした画像を見比べてこのように思いました。

スキャナのピント精度の課題

 フラットベッド型スキャナGT-X970を使用されている方々から、ピント精度の不安に関する投稿がネット上で多くみられます。これは私にも実機を使用してみて初めてわかりました。このスキャナのフィルムホルダーの構造上、カールの残ったフィルムをセットした場合には平面性を確保できずにスキャニングすることになってしまいかなり気になります。この対策として、現像後のカールが軽減するまでプレス(大きな本に挟むとか)しておくとか、比較的室内湿度の高いときにスキャニングするなどいろいろと皆さん工夫されています。私もこれらのご意見を参考にしていろいろとチャレンジしました。

 上記のようなピント対策をいろいろとやっていましたが、効果の程はいまひとつはっきりしません。そこである時、思い切って実験してみることにしました。フィルムホルダー下部にいろいろな厚さのスペーサーを張り付け、スキャニング面を標準位置からずらした状態でスキャニングを行い、得られた画像を拡大してずらし量と画像のぼけ具合の関係を確認しました。結果は、当初想定していた程の差はなく、相当にずらさなければ目視による差異は感じられない、というものでした。このスキャナのスキャニングレンズは相当に被写界深度が深いものだと思い知らされました。この実験を行って以降、ピント精度のことはあまり気にならなくなりました。


ソフトウエアによるレタッチ

 私は、ソフトウエアはフォトショップを使用しています。フォトショップによるレタッチ(写真データの編集)には以下の点に配慮しています。

できるだけフィルムらしさを残す

 デジタル化した画像データで、トーン調整やシャープネスを強く施せば、見栄えはよくなりますがデジタルカメラで撮影したものと区別がつかなくなります。こうならないように、トーン調整はモノクロフィルムのスキャニング時に限定して行うように、またシャープネスに関しては拡大画像を見ながらエッジを強調しすぎないように配慮しています。

 カラー写真に関しては、リバーサルフィルムの場合できるだけ手を入れずにスキャニングし、フォトショップによるレタッチも明るさとコントラスト調整を軽くかける程度です。ネガカラーフィルムもこのようにしたいのですが、スキャナのデフォルト設定(初期設定)でかなり暴れた画像が出てきます。これには、自己流ですがRGB(三原色)のヒストグラムを見ながらレンジ調整をしてカラー調整をしています。

トリミング(画像の切り取り)は躊躇なく行う

 有名なプロカメラマンで、絶対にトリミングはしないという信条の方がいらっしゃいます。私にはとても無理な境地です。私は躊躇なくトリミングをしています。風景写真は、三脚でじっくり構図を決めて撮る場合ばかりでなく、鳥が飛んできたところをサッと撮るような場合も多々あります。このような場合は、今持っているカメラとレンズで撮るのは当然ですが、露光(絞りとシャッター速度)やピントをセットできない場合も多々あります。あっと思ったらなにも考えずにカメラを向けてシャッターを押す。ピントは普段無限大にしていることが多く、また露光も標準的(ISO100フィルムで絞りF11とシャッター速度1/125s)にしていることが多いので、成功する確率が高い。シャッターを押さない場合は何ものこらない。という状況で撮影を行った場合、トリミングは必須です。このトリミングは、フォトショップ上で行います。

カラーフィルムからのモノクローム化も躊躇なく行う

 カラーフィルムからのモノクローム化も躊躇なく行っています。これはネガカラー・リバーサルどちらもそうです(ネガカラーの方が情報量が多いようです。リバーサルフィルムはどちらかと言うとデジタルカメラに類似しているようですね)。むしろ最近では、最初からモノクローム写真をねらってネガカラーフィルムを使用することが多いです。これは単に経済的(フィルム自体も現像代もネガカラーの方がモノクロフィルムより安い場合が多い)な理由からでしたが、使用し始めてネガカラーの懐の深さの一端に気づき始めています。

 このサイトで掲載したモノクローム写真の中では、秩父の一部、遠野の全部、三浦海岸の一部についてカラーフィルムからのモノクローム化を行っています。使用したフィルムについては、左メニューの「撮影データと使用機材」のコーナーで整理してあります。


サイト掲載用ファイルの作成

 レタッチが終了した写真ファイルからサイト掲載用ファイルを作成します。フォトショップ上でのレタッチはTIFFファイルで行っています。その後、必要に応じて掲載用ファイルをJPEGファイルに変換して作成します。以下に代表的なカラー画像のメッシュ数とファイル容量についてまとめました。参考にして頂ければと思います。

写真データ種別メッシュ数(縦×横)画素数ファイル容量
ブローニー判カラー
レタッチ用(TIFF)
5000×5000程度2500万程度150Mbite程度
ブローニー判カラー
サイト掲載用(JPEG)
512×51226万100~150
Kbite
35mm判カラー
レタッチ用(TIFF)
2200×3300程度
720万程度45Mbite程度
35mm判カラー
サイト掲載用(JPEG)
400×60024万100~150
Kbite

【掲載履歴】

2020年6月7日:「撮影からサイト掲載までの手順」初版を公開。